第12回電撃小説大賞の銀賞受賞作品である『狼と香辛料』(おおかみとこうしんりょう)は、支倉凍砂によるライトノベル、および同ライトノベルを原作とする漫画·テレビアニメ·テレビゲーム·ラジオドラマなどの関連作品。狼の化身である少女と青年行商人の道中で起こる様々な事件を、軽妙洒脱な掛け合いもちりばめつつ描く「剣も魔法もない」ファンタジー物語であり、中世ヨーロッパ的な世界での経済活動に争いの舞台を置く異色作である。
旅の青年行商人クラフト·ロレンスは、商取引のために訪れたパスロエ村を後にした夜、荷馬車の覆いの下に眠る一人の密行者を見付ける。それは『ヨイツの賢狼』ホロと名乗る、狼の耳と尻尾を持つ少女であった。
ホロは普段、亜麻色の長い髪、赤い琥珀色の瞳、可憐な面差し、鋭い犬歯、そして先の白い尻尾と立った獣耳を持つ10代中頃の少女の姿をしている。正体は、何百年も歳を重ねた、自らを『賢狼』と名乗る齢数百を数える、神とまで称される巨大な狼。麦に宿り、その収量を左右する神秘的な力を持つ。長年住み慣れた土地を離れ、北の地にある故郷へ帰ることを望んで、ロレンスとともに旅をする。
『狼と香辛料』で描がかれるのは中世ヨーロッパを思わせる架空世界であり、ここでは超常的現象はいっさい生じない。唯一の例外が知性を持つ獣の存在で、彼らはその正体において同族をはるかに凌ぐ体躯を持ち、長寿あるいは不死であり、人に化身することもできる。また、人との間に子をなすことも可能。
『狼と香辛料』は高い評価を獲得した。「作品(シリーズ)部門ランキング」では、『このライトノベルがすごい! 2007』で1位、『このライトノベルがすごい! 2008』および『このライトノベルがすごい! 2009』で5位にランクインした。同時に、ヒロインとしてのホロも高い人気を博し、『このライトノベルがすごい! 2007』で1位を獲得している。ホロのコスプレ衣装も続々と登場した。
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